営業とカスタマーサクセス、境目をどこに引くか
契約を取ることと、契約を守ることは、別の仕事です。私はそう考えています。営業とカスタマーサクセス(顧客の導入後フォロー)は、本来は違う筋肉を使う仕事ですが、多くの中小企業ではこの二つを分けられず、同じ担当者が両方を抱えています。今日は、その境目をどこに引くかを整理します。
よくある困りごと
契約後のフォローが手薄になり、解約や不満につながるケースをよく見かけます。営業担当は新規の商談を追いかけるのに忙しく、既存顧客への連絡は後回しになりがちです。すると顧客側は「契約したら急に連絡が減った」と感じ、小さな不満が積み重なっていきます。
逆のパターンもあります。営業担当が既存顧客のフォローに時間を取られすぎて、新規開拓に十分な時間を割けなくなるケースです。フォローが丁寧なこと自体は良いことですが、それによって新規の商談数が落ちてしまうと、会社全体の数字が伸び悩みます。
どちらも「営業とフォローを同じ人が兼務している」ことから生まれる構造的な問題です。担当者の努力不足ではなく、役割の設計がされていないことが原因だと私は考えています。
考え方の整理
役割を分けるかどうかを考える前に、まず契約後のフォローに何が含まれるかを整理しておくと判断しやすくなります。
- 契約直後の立ち上げ支援:使い方の説明、初期設定、最初の成功体験を作るまでの伴走
- 定常的な状態確認:利用状況の確認、困りごとがないかの声かけ
- 契約更新・追加提案のタイミング判断:継続してもらうための関係維持と、必要に応じた追加提案
- トラブル対応:不具合や不満が出たときの初期対応
小さな会社でこれらを分けられない場合、私は次のような回し方を勧めています。
- 契約直後の立ち上げ支援だけは、契約を取った営業担当が必ず担当する(顧客との関係が途切れないようにするため)
- 定常的な状態確認は、決まった頻度(月1回など)でルーティン化し、営業の空き時間に組み込む
- 更新・追加提案のタイミングは、カレンダーやリストで管理し、感覚ではなく仕組みで気づけるようにする
- トラブル対応は最優先で割り込ませてよいと、あらかじめ全員で合意しておく
役割を分けられなくても、フォローの「型」を先に決めておくことで、担当者の負担感と顧客側の不安の両方を減らせます。
判断基準:兼務すべき規模/分けるべき規模
営業とフォローを兼務すべきか、分けるべきかは、会社の規模というより「既存顧客の数」と「フォローにかかる時間」で判断するのが現実的です。
既存顧客の数が少なく、フォローに使う時間が営業活動の時間を圧迫しない段階では、無理に分ける必要はありません。むしろ同じ担当者が契約から継続まで一貫して関わることで、顧客との信頼関係が築きやすいという利点もあります。
一方で、既存顧客のフォローに割く時間が増え、新規開拓の時間が明らかに削られてきた場合は、分けるタイミングです。専任の担当を置くというより、まずは「フォロー業務だけを切り出して担当を分ける」という小さな一歩から始めるのが現実的だと思います。全員がフォロー専任である必要はなく、フォローの一部業務だけを別の人が引き取る形でも十分に効果があります。
まとめ
営業とカスタマーサクセスの境目は、会社の大きさで決まるものではなく、既存顧客の数とフォローにかかる時間のバランスで決まります。まずは契約後のフォローに何が含まれるかを洗い出し、それを型として決めておくことから始めてみてください。
自社の場合、フォロー体制をどう設計すればよいか整理したいという方は、無料相談で一緒に考えることもできます。
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