『あなたにしかできない仕事』を、言葉で渡す
同じ仕事でも、渡し方一つでやる気は変わる。結論から言うと、仕事を振るときに大事なのは「何をやってもらうか」より先に「相手が何を得意とし、何に興味を持っているか」を把握することだ。そのうえで、その仕事が相手にとってどんな意味を持つのかを言葉にして渡す。それだけでメンバーの受け止め方は大きく変わる。
一律の指示では、なぜやる気にばらつきが出るのか
チームが大きくなるほど、指示は効率よく回したくなる。同じタスクを、同じ言葉で、複数人に一斉に振る。内容としては間違っていないし、時間もかからない。
ただ、受け取る側は一人ひとり違う。コツコツ型の人にとってはちょうどいい仕事でも、いろいろなことに挑戦したい人にとっては単調に感じられるかもしれない。逆に、幅広く動きたい人向けの指示を、じっくり型の人に投げると落ち着かない気持ちにさせてしまうこともある。同じ指示なのに、受け取る側の納得感がバラバラになるのは、ここに理由がある。
私自身、ある先輩の姿を近くで見ていたことがある。その先輩は売上の数字だけを見れば申し分なかった。ただ、仕事の振り方は一方的で、相手の状況や得意分野を考えずにむちゃぶりを重ねていた。結果として、周りから少しずつ人が離れていき、最終的には本人も含めてチームを去ることになった。この経験から私が学んだのは、「仕事の中身」以上に「仕事の渡し方」が、人が働き続けられるかどうかを左右するということだった。
相手のタイプに合わせて、言葉をかける
仕事を振るときに意識しているのは、その人の得意なこと・興味を持っていることに、仕事の意味づけをできるだけ寄せることだ。具体的には、次のような形で言葉を選んでいる。
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同じことをコツコツ続けるのが得意な人には「そこを極めてほしい」と伝える。 積み重ねや改善そのものに価値を感じるタイプには、その仕事を「極める対象」として渡すと、腰を据えて取り組んでもらいやすい。
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いろいろなことに挑戦したい人には「いろいろ広げていってほしい」と伝える。 新しい領域に触れることにやりがいを感じるタイプには、範囲や裁量を広げる伝え方をすることで、前向きに手を挙げてもらいやすくなる。
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いろいろなことに気づける人には「あなたにしかできない仕事だから」と伝える。 視点の広さや気づきの多さが強みの人には、その人ならではの見方が必要な仕事であることを言葉で示す。代替の利かない役割として渡すことで、責任感と同時に納得感も生まれる。
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どのタイプであっても、渡すだけで終わらせず「一緒にやっていこう」と添える。 得意分野に合わせた意味づけをしても、放り投げる形になってしまえば安心感は生まれない。並走する姿勢を短い一言で示すだけで、モチベーションの土台が変わる。
これらは特別な話術ではなく、相手を見て、相手の言葉で伝え直しているだけだ。
この渡し方が効くチーム・向かないケース
この考え方が効きやすいのは、メンバーそれぞれの得意分野や興味にある程度ばらつきがあるチームだ。人数が数名〜十数名規模で、マネージャーが一人ひとりの仕事ぶりを日常的に見られている環境ほど機能しやすい。
逆に、業務内容が完全にマニュアル化されていて、誰がやっても同じ手順・同じ結果を求められる場面では、意味づけを変えることにあまり効果はない。また、メンバーの得意分野をまだ把握できていない段階でこれをやろうとすると、当てずっぽうの言葉になってしまい逆効果になることもある。まずは相手を知ることが先、という順番は崩さない方がいい。
まとめ
仕事の振り方を変えるのに、大きな制度改革は必要ない。相手が何を得意とし、何に興味を持っているかを知り、それに紐づけて言葉を選び、「一緒にやっていこう」と添える。それだけで、同じ仕事の受け止められ方は変わってくる。
チームの仕事の渡し方について、自社の状況に当てはめて整理してみたいという方は、無料相談で一度お話しすることもできる。
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