採用基準は、スキルより理念への共感を見る
採用で見るべきは、スキルの高さより理念への共感度だと私は考えています。能力が高くても理念に共感していない人とは、どこかですれ違いが起きる。逆に理念に共感している人は、多少の壁があっても同じ方向を向いて仕事ができる。これは私自身の採用経験から得た実感です。
能力の高さだけで選ぶと、どこかですれ違う
私がこれまでの採用で「選んでよかった」と思うのは、責任感が強い人でした。共通していたのは、会社のビジョンをしっかり共有し、その理念や思いに共感して「一緒に仕事がしたい」と言ってくれたことです。そういう人には安心して仕事を任せられます。何かを判断してもらう場面でも、都度細かく指示をしなくても、常にビジョンを軸に考えてくれるので、結果として同じ方向を向いて仕事ができました。
一方で「採用しなければよかった」と思う人もいました。面接では自分ができることをしっかりアピールしてくれて、能力自体は高い人でした。ただ、会社のビジョンや理念、思いへの共感が薄いまま入ってもらったケースです。仕事を進めるうちに、どこかで判断の軸がずれる場面が出てきます。本人は能力を発揮しているつもりでも、会社が大事にしたい方向とは違う動き方をしてしまう。結果として、うまく噛み合わないまま関係が続いてしまいました。
この二つの経験を比べて感じるのは、スキルは入社後にも伸ばせるが、理念への共感は後から育てるのが難しいということです。だからこそ、採用の入り口でここを見誤ると、後になるほど修正のコストが大きくなります。
面接で理念共感をどう見極めるか
理念への共感は、聞けばすぐ本音が出てくるものではありません。面接の場では誰でも「共感しています」と言えてしまうからです。私が意識しているのは、次のような角度から見極めることです。
- 理念を先に話し、反応の質を見る。 会社のビジョンや理念をこちらから丁寧に説明し、相手がどこに反応するかを観察します。表面的に相槌を打つだけか、自分の言葉で感想や質問が返ってくるかで温度差が分かります。
- 「なぜこの会社なのか」を具体的に聞く。 待遇や仕事内容だけでなく、数ある選択肢の中でなぜこの会社を選んだのかを聞きます。理念に触れた答えが自然に出てくるかどうかを見ます。
- 過去の行動を理念の言葉で語れるか確認する。 スキルのアピールだけでなく、これまでの仕事の中で何を大事にしてきたかを聞きます。話の軸が「できること」なのか「大事にしていること」なのかで、見えてくるものが違います。
- こちらの理念に対する違和感も聞く。 共感できる部分だけでなく、疑問や違和感がないかもあえて聞きます。無理に共感を演じていないか、率直な受け答えができるかを見るためです。
- 一度で決めず、複数回のやり取りで一貫性を見る。 一回の面接だけで判断せず、複数回のやり取りの中で言っていることに一貫性があるかを確認します。
スキルの評価は職務経歴やテストで比較的見えやすいものです。だからこそ、見えにくい理念共感の部分に、面接の時間を意識的に多く使う必要があると感じています。
理念採用が効く会社、効かない会社
理念への共感を採用の軸に置くやり方が、すべての会社やすべての場面に当てはまるとは思いません。
理念採用が効きやすいのは、少人数で一人ひとりの裁量が大きい会社や、事業の方向性がまだ固まりきっていないフェーズだと感じています。指示を細かく出せない環境では、判断の拠り所が理念しかありません。理念に共感している人であれば、迷った場面でも会社が大事にしたい方向に沿って自分で判断できます。
一方で、業務が細かくマニュアル化されていて、決められた手順を正確にこなすことが最優先される場面では、理念共感よりも実務スキルや正確性を優先したほうが合っている場合もあります。また、短期間で特定の専門スキルだけを補いたいプロジェクト単位の採用でも、理念共感を最優先の基準にする必要はないでしょう。
大事なのは、自社の採用が「長く同じ方向を向いて任せられる人」を求めているのか、「今この瞬間の専門性」を求めているのかを、採用の前に整理しておくことだと思います。
まとめ
能力の高さは魅力的に見えますが、理念への共感がなければ、いずれどこかですれ違いが生まれます。逆に理念に共感してくれた人は、安心して任せられ、同じ方向を向いて仕事を続けられます。採用基準を見直す際は、スキルシートの前に、自社の理念をどう伝え、どう見極めるかを一度整理してみることをおすすめします。採用や組織づくりでお悩みの方は、無料相談も承っています。
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