営業チームの1on1、何を話せば意味があるのか
1on1が形骸化するのは、部下の意欲や上司の技量の問題ではない。目的を決めずに時間だけ確保しているからだ。1on1は「進捗確認」でも「雑談」でもなく、次のアクションを本人が言語化する場として設計すると機能する。まずは目的を1つに絞ることから始める。
1on1を導入したのに、なぜ機能しないのか
1on1を制度として導入した後、よくある2つの失敗パターンがある。
1つ目は、雑談で時間が埋まってしまうケースだ。近況を聞いて終わり、来週も同じ話をする。悪い時間ではないが、次のアクションにつながらないまま回数だけが積み重なる。
2つ目は、進捗確認の場になってしまうケースだ。「あの案件どうなった」「なぜ達成できていないのか」を聞く時間になり、部下は答え合わせをするだけの場だと認識する。これは1on1ではなく、形を変えた進捗会議であり、部下にとっては詰問と変わらない。
どちらも共通しているのは、「この時間で何を決めて終わるか」が事前に決まっていないことだ。目的のない会議が形骸化するのと同じ理屈で、1on1も目的を設計しない限り機能しない。
1on1を機能させる考え方と手順
1. 目的を「評価」ではなく「本人の言語化」に置く
1on1の目的は、上司が状況を把握することではなく、部下が自分の状況・課題・次の一手を自分の言葉で整理することに置く。上司の役割は答えを出すことではなく、部下が話しながら考えを整理できるように問いを立てることになる。この前提が共有されていないと、部下は「評価される時間」だと身構え、本音を話さなくなる。
2. アジェンダを固定フォーマット化する
毎回ゼロから話す内容を決めると、その場で思いつく話題(=雑談か進捗確認)に流れやすい。以下のような固定フォーマットを用意しておくと、話す内容が自然に定まる。
- 前回決めたことの結果はどうだったか
- 今、一番時間を使っている案件・作業は何か
- 進めるうえで詰まっている点、判断に迷っている点はあるか
- 次回までに何を、いつまでにやるか
これを毎回同じ順番でなぞるだけで、雑談にも詰問にも流れにくくなる。
3. 質問は「なぜ」より「何」「どう」で聞く
「なぜできなかったのか」という問いは、原因追及の形式になりやすく、部下を守りの姿勢にさせる。代わりに「何が障害になっているか」「どうすれば次は進められそうか」という聞き方にすると、同じ状況について話していても、対話が原因の追及ではなく解決の方向に向かう。言葉の選び方だけで、同じ1on1が詰問にも壁打ちにもなる。
4. 頻度は「内容」で決める
頻度を先に固定するのではなく、扱う内容に応じて設計する。
- 案件の進め方や優先順位の相談が中心なら、週1回・15〜30分程度
- 中長期のキャリアや育成方針の話が中心なら、月1回・30〜60分程度
短い頻度の1on1に育成の話を詰め込むと消化不良になり、長い頻度の1on1に日々の進捗確認を詰め込むと情報が古くなる。扱いたい時間軸と頻度を一致させることが、内容の一致よりも重要になる。
5. 記録は「決定事項」だけ残す
議事録を細かく取る必要はない。次回の1on1で最初に確認する「決めたこと・次回までにやること」だけをメモしておけば十分だ。この記録があることで、次回の1on1が「前回の続き」から自然に始まり、毎回ゼロから話題を探す状態を避けられる。
向くチーム、向かないチーム
1on1は、メンバーが複数の案件を並行して抱えていて、判断に迷う場面が日常的に発生するチームに向いている。判断の型を上司と一緒に確認する場として機能しやすいためだ。
一方で、業務がマニュアル化されており判断の余地がほとんどない業務や、メンバーが1〜2名で日常的に会話が発生しているチームでは、1on1という形式を新たに設けなくても、必要な会話は既に成立していることが多い。形式を導入すること自体が目的化しないよう、まずは今のチームに「定期的に立ち止まって考える時間」が不足しているかどうかを確認するとよい。
まとめ
1on1が機能しない原因は、部下の姿勢でも上司の話し方の癖でもなく、目的とフォーマットが設計されていないことにある。目的を「本人の言語化」に置き、アジェンダを固定し、質問の形式を変えるだけで、同じ時間でも得られるものは変わる。
自社のチームに合った1on1の設計や、営業育成の仕組みづくりについて相談したい場合は、無料相談も受け付けている。
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